人類がはじめて宇宙に持つ恒久的な活動拠点である国際宇宙ステーション
(ISS = International Space Station)
は、自然科学・工学分野のさらなる研究開発を促すだけでなく、
科学技術と芸術そして人文諸科学の総合を通じて、地球の生命と文明に対する新たな視点や宇宙時代における人類の新たな自然観・生命観を形成していく契機になると思われます。
私たち「宇宙への芸術的アプローチ(AAS=Artistic Approaches to Space)」
研究グループは、それを促進する一つの方法として、“MUSE 計画”を実行しています。
この計画は、宇宙航空研究開発機構 (JAXA = Japan Aerospace Exploration Agency)
および宇宙飛行士の方々と連携して、宇宙における芸術表現の意義と可能性、条件と方法を研究し、
ISS の日本の実験モジュール「きぼう」を核とした宇宙環境における芸術プロジェクトの実現をめざして、具体的な提案と創作実践を行う共同研究プロジェクトで
す。
微小重力や閉鎖環境、地球や宇宙に開かれた新たな視野という宇宙環境の特性は、私たちの感覚や知覚、認識や価値観を変え、リアリティを変容させ、人間の生活様式や行動の変化を導くでしょう。
それに対応して、人間の芸術表現やコミュニケーションの意義を原点に立ちかえって検討し、知性と感性の新たな結びつきの中から、宇宙で活動する人々にとってだけでなく、地上に生きるわれわれにとっても意義ある宇宙文化の創造を探ることが求められます。
今回、JAXA の宇宙飛行士である若田氏を迎え、これまでのJAXAとの共同研究についての報告会を行うことになりました。
多くの方のご来聴をお待ちしています。 |