アンチエイリアス

エイリアス

一般に,連続的に変化する量を離散的 (とびとび) にデジタルサンプリングするときに生じるエラーをエイリアス (aliasing,別名現象) という。 たとえば動画では,回転する車輪のパターンが変化する周期とサンプリングの間隔が近いと,車輪が止まったり逆転して見えることがある(図参照)。 また,音声で,高周波の音をデジタルサンプリングするとき,音の周波数とサンプリングの間隔が近いと別の音になってしまうのも,エイリアスの例である (図参照)。

滑らかエイリアス

音のエイリアス
サンプリングの間隔が粗いと
車輪が逆回転して見える(右)

   
高周波の音(黒い波形)をサンプリングするとき
間隔が粗いと別の音(青い波形)になってしまう


アンチエイリアス

画像のばあい,画像を有限のピクセル (pixel,画素) で表現しようとすると,色が急に変化するところでギザギザになったりするのがエイリアスの例である。 画像をデジタルサンプリングするとき,各点の色をそのまま使うのではなく, ピクセル内の色を平均化することによって,ギザギザを軽減して滑らかに見せることができる。 このように,エイリアスを軽減することを「アンチエイリアス」 (anti-aliasing) という。

元画像
アンチエイリアスなし
アンチエイリアス
元画像
(マス目はピクセルサイズ)

アンチエイリアスなし アンチエイリアスあり

Photoshop などで画像の一部を切り取って別の画像にペーストするとき,アンチエイリアスを入れないと画像の境界がギザギザになる。 「投げ縄」などで切り取る範囲を選択する前に,アンチエイリアスにチェックを入れておくとよい。また,文字をラスタライズ (画素化) してビットマップ画像に組み入れるとき,アンチエイリアスをオンにしておくと滑らかになる。

アンチエイリアスの例
アンチエイリアスなし(左)とあり(右)
上は「投げ縄」でコピーした画像をペーストした例
下は,アンチエイリアスをかけたフォントの例

アンチエイリアスフォント

フォントを滑らかに見せることは,ディスプレイの画面上で文字を表示するときにも重要である。 ディスプレイの解像度がよくなったこと,アンチエイリアス表示に対応したフォントが出回ってきたことのおかげで, PDF だけでなくワープロの画面でも,視認性のよいスムーズフォントが広く使われるようになった。 Mac OS X では,画面上のメニューや通常のテキストの表示にアンチエイリアスフォントが広く使われている。 いっぽう Windows (XP 以降) では,液晶ディスプレイの各ピクセルがRGB3色のサブピクセルからなるため横方向に3倍の解像度があることを利用して,横方向にアンチエイリアスを行う Clear Type という技術が使われており,Clear Type 対応フォントも増えてきた(図参照)。 最近の Mac OS X (Tiger 以降) でも,同様の技術が使われるようになった (サブピクセルスムージングとよばれている)。

スムーズフォント

液晶画面
液晶画面の拡大。Clear Type が液晶上での横方向のアンチエイリアスであることがよくわかる。

画像の再サンプリング

ビットマップ画像を縮小(または拡大)するときにもエイリアスが生じる。これを防ぐためには,縮小(または拡大) 後のピクセルの色を,元画像の色を補間(再サンプリング)して求めるとよい。 再サンプリングは,画像を縮小拡大するさいのアンチエイリアスといえる。 Adobe Photoshop では,解像度を変更して画像を縮小・拡大するとき自動的に再サンプリングが行われる。 いっぽう,安価なソフトには,単にピクセルを間引いたり増やしたりして画像サイズを変更するものがある。 再サンプリングなしのばあい,ジャギーが現れたりして汚い画像になる。 また,網点画像を縮小するとモアレが現れたりするので,注意が必要である (図参照)。
元画像
再サンプリングなし
再サンプリング
元画像
再サンプリングなしで縮小
(拡大表示)
再サンプリングありで縮小
(拡大表示)

元画像(新聞より)
アンチエイリアスなし
アンチエイリアス
元画像
再サンプリングなしで縮小
(拡大表示)
再サンプリングありで縮小
(拡大表示)

再サンプリングでは,色を平均化して新しいピクセルの色を決めるので,フルカラーを必要とする。 GIF 画像のようなインデックスモード (パレットモード) の画像は,使える色数が限られているため,画像の縮小・拡大のとき再サンプリングがそもそも不可能である。 元画像が GIF などインデックスモードの画像であるばあい, まず RGB モードのようなフルカラーモードにしてから縮小・拡大し,あとでインデックスカラーモードに戻すとよい。

* スキャナーには,「モアレ軽減」機能をもつものがある。 これは,網点印刷された画像をスキャンしたときに現れるモアレを軽減する機能である。 具体的には,画像をある解像度でスキャンするときに,まず目的のピクセル内の色を高解像度で複数点でサンプリングし, これを平均してピクセルの色としている(いわゆるオーバーサンプリング)。 読み込もうとする解像度と網点の間隔が近いときでも,目的のピクセル内の色を平均することで,モアレがほとんど出なくなるわけだ。 印刷物をスキャンするとき活用しよう。
モアレ軽減機能のないスキャナでも,まず網点が見えるほどの高解像度でスキャンし,あとでぼかしをかけてから解像度を落とすことで,モアレを軽減することができる。


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