付録: 潮汐力のアニメーション


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潮汐力をわかりやすくするため, アニメーションを作ってみた。 数式を見て頭に浮かんだイメージを映像化したものだ。 式やことばよりも, 絵のほうが理解しやすいかもしれない。
(注意) 回転する画像を長いあいだ見ていると気分が悪くなることがあるので, 気をつけていただきたい。


1. 並進加速度系

円に沿って並進運動する地球に現れる力を見てみよう。 地球の並進運動だけを考えているので, 地球の向きは変わらないとしている。
図B-1 は, 並進運動する地球を慣性系から見たところ。 + は, 並進運動する地球に固定した座標系, すなわち並進加速度系を表す。 慣性系で見たときは, 図B-1 のように重力だけが見える。 慣性系でのアニメーションなのに慣性力が描いてあるものをときどき見かけるが, それは間違いだ。 慣性系では慣性力は見えない。 なお, 図では月にはたらく力を省略した。実際には, 月には (単位質量あたり) 地球の何十倍もの力がはたらいている。
図B-2 は, 並進運動する地球に固定した座標系で見たところ。 並進加速度運動によって一様な並進慣性力が現れ, 重力とほとんど打ち消し合う。 このとき消えずに残るのが潮汐力だ。


図B-1. 慣性系から見た, 並進運動する地球。重力だけが見える。 図B-2. 並進加速度運動する地球に現れる一様な慣性力 (ピンク)

並進運動では, 背景が遠方の星空だと背景が動かないので, 慣性系で見ているのか並進加速度系で見ているのかわかりにくい。 図B-3, 図B-4 は, 見ている座標系がわかりやすいように, 地球-月系のすぐ後ろに仮想の静止した格子を置いたものだ。


図B-3. 慣性系から見た, 並進運動する地球。重力だけが見える。 図B-4. 並進加速度運動する地球に現れる一様な慣性力 (ピンク)

2. 回転系

地球が公転運動とともに回転している座標系に乗っているとして, 回転系で見える力を考えよう。
図B-5 は, 回転系に乗った地球を, 慣性系から見たところ。 + は, 回転する地球に固定した座標系を表す。 慣性系で見たときは, 図B-5のように重力だけが見える。
図B-6 は, 地球に固定した座標系, すなわち回転系で見たところ。 共通重心を中心とする遠心力が現れる。
図B-7 は, 共通重心まわりの遠心力を, 一様な慣性力と地球中心まわりの遠心力に分けたところ。 このうち, 一様成分は重力とほとんど打ち消し合う。 地球中心まわりの遠心力はそのまま残る。 地球から見るときは, このように2つの成分に分けて考えるほうがわかりやすい。


図B-5. 慣性系から見た, 公転とともに回転する地球。重力だけが見える。+ は地球に固定した座標系。 図B-6. 回転系で現れる, 共通重心まわりの遠心力 (赤) 図B-7. 共通重心まわりの遠心力を一様成分 (ピンク) と地球中心まわりの遠心力 (黄) に分けたところ

参考までに, 地球が公転運動とともに回転する座標系に乗っているとして, これを共通重心から見てみよう。 + は, 共通重心を回転軸として回転する座標系を表す。 図B-8 は, 共通重心の周りを公転する地球を, 慣性系から見たところ。 図B-9 は, 共通重心の周りを公転する地球を, 共通重心を回転軸とする回転系から見たところ。共通重心を中心とする遠心力が現れている。


図B-8. 慣性系から見た, 共通重心の周りを公転する地球。 図B-9. 共通重心を回転軸とする回転系から見た, 公転する地球。

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