ルジャンドル多項式によるポテンシャル
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月による重力ポテンシャルをルジャンドル多項式で展開することで, 潮汐ポテンシャルを導いてみよう。
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図1. 式で使ったベクトル
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地球の中心から見た点 P の位置を
\({\boldsymbol{r}}\),
地球の中心から見た月の位置を
\({\boldsymbol{a}}\) とおくと,
点 P での月による単位質量あたりの重力ポテンシャルは,
\[
{V_{\text{m}}} = - \frac{{Gm}}{{\left| {{\boldsymbol{r}} - {\boldsymbol{a}}} \right|}} \tag{1}
\]
と書ける。
ところで, \(r < a\) のとき, この形のポテンシャルはルジャンドル多項式を用いてつぎのように展開できることが知られている。
\[
\frac{1}{{\left| {{\boldsymbol{r}} - {\boldsymbol{a}}} \right|}}
= \frac{1}{a}\left[ {1 + \frac{r}{a}{P_1}(\cos \psi )
+ {{\left( {\frac{r}{a}} \right)}^2}{P_2}(\cos \psi ) + \cdots } \right]. \tag{2}
\]
したがって,
\[
{V_{\text{m}}} = - \frac{{Gm}}{a}\left[ {1 + \frac{r}{a}{P_1}(\cos \psi )
+ {{\left( {\frac{r}{a}} \right)}^2}{P_2}(\cos \psi ) + \cdots } \right] . \tag{3}
\]
ただし, \(\psi\) は
\({\boldsymbol{r}}\) と
\({\boldsymbol{a}}\) の間の角度を表す。
\[\cos \psi = \frac{{{\boldsymbol{a}} \cdot {\boldsymbol{r}}}}{{ar}}\]
また,
\[\begin{gathered}
\begin{align}
&{P_1}(\cos \psi ) = \cos \psi \hfill \\
&{P_2}(\cos \psi ) = \frac{1}{2}(3{\cos ^2}\psi - 1) \hfill \\
\end{align}
\end{gathered} \]
式 (3) のポテンシャルのうち, \(r \) の1次の項が地球全体が受ける重力を,
\(r \) の2次以上の項が潮汐力を表す。
地球から見た月の方向 (\({\boldsymbol{a}}\) の方向) を
\(x \) とし,
式 (3) を
\(x \),
\(y \),
\(z \)
で表すと, 本稿親ページの式 (4) になる。
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T. Fujiwara, updated 2024/01