Ross, D.A.: Introduction to Oceanography (1995)
アメリカでは, 1990年代以降, 潮汐力の説明に centrifugal force ではなく inertial force または inertia を使った教科書やウェブサイトが増えている。 下は, David A. Ross による海洋学の教科書 Introduction to Oceanography (1995) の潮汐についての説明の部分だ。 潮汐力の原因が的確に説明されている。NOAA NOS (National Ocean Service): "Tides and Water Levels" (2005-)
下図は, NOAA NOS (アメリカ海洋大気庁 海洋局) Education - "Tides and Water Levels" - Gravity, Inertia, and Bulges にある図だ。 単純化して, 月に近い側は重力だけで, 遠い側は慣性力だけで膨らんでいるように誇張されているが, 実際には, 月側では重力が慣性力をわずかに (約 1/30 だけ) 上回り, 反対側では重力が慣性力をわずかに下回るにすぎない。
Webb, P.: Introduction to Oceanography (2017)
下は, Roger Williams University が公開している, Paul Webb による教科書 Introduction to Oceanography (海洋学入門) にある図だ。
(注) 図はよいが, 残念ながらこの教科書 11.1 節の本文には問題がある。
共通重心のまわりの地球の運動を rotation (回転, 自転) と書いているのだ。
潮汐力を考えるときは地球の自転を止めるので, rotation ではなく revolution (公転) または revolution without rotation (自転なしの公転) と書くべきだろう。 11.1 節を読むときは注意してほしい。
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T. Fujiwara 2022/07