超々入門 単位換算 — [コラム] cL (センチリットル)


SI での体積の単位 m3 は, 日常生活で使うには大きすぎるので, 代わりにその 1/1000 である L (litre, リットル) が使われることが多い。 さらにその 1/1000 である mL もよく使われる。 小学校では, そのほか dL も習う。 この dL はほとんど目にすることがないが, 血液検査の中性脂肪, 血糖値の単位 (mg/dL) などに使われているようだ。 いっぽう, 日本ではあまり目にすることがないが, ヨーロッパでは飲料の体積に cL がよく使われている (図参照)。 もちろん c はセンチつまり 1/100 の意味なので, 図の 50 cL は 500 mL あるいは 0.5 L のことだ。


centi Litter centi Litter
ヨーロッパでは cL が使われている エネルギーの単位も kJ になっている

[注] リットルの単位としては, 数字の 1 やアルファベットの I と似ている小文字の l を避けて大文字の L を使うのが一般的だ。 国際標準では, 単位記号にはイタリック体ではなくローマン体 (立体) を使うことが推奨されていることから, かつて使われていた筆記体の ℓ (文字コード U+2113) は2011年ごろから教科書でも使われなくなった。

ヨーロッパで食品を買うと, 食品エネルギーの表記が J (ジュール) になっていることに気づく (図参照)。 SI では, 熱はエネルギーの一形態なので単位は J (ジュール) だ。 ヨーロッパでは, 熱エネルギーだけでなく食品エネルギーの単位もすでに cal から J へ移行している。 日本でも,熱エネルギーの単位は cal から J にかわった。ガスコンロの発熱率も cal/h から W (ワット) になった。 しかし, 食品エネルギーの単位は非推奨の cal がまだ使われているようだ。 「カロリー計算」, 「カロリーカット」を「エネルギー計算」, 「エネルギーカット」あるいは「ジュール計算」, 「ジュールカット」と言い換えれば J への移行は容易だと思うのだが。 どこかの業界が抵抗しているのだろうか。



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T. Fujiwara, updated 2024/10