超々入門 単位換算 — [コラム] はじきの法則


「はじきの法則」を教えている小学校があるかもしれないが, よい方法とは思えない。 はじきの位置関係を忘れたら終わりだからだ。 おなじ「はじきの法則」を覚えるのなら, 図ではなく式の形で覚えておくとよい。 ただし, 式の変形を知っている必要があるので, 中学校まで待たなければならないが。

(速さ) × (時間) = (距離)

この式の両辺を (時間) で割ると   (速さ) = (距離) / (時間)   になる。 また, 両辺を (速さ) で割ると   (時間) = (距離) / (速さ)   になる。

式に日本語を使わず記号を使うときは, たとえば 速度を \( v \), 時間を \( t \), 距離を \( x \) として, つぎのように書くとよい。

\[ v\,t = x \]

この式を変形すると, 容易に速度の式 \( v = x/t \) と時間の式 \( t = x/v \) が出てくる。 このように, 式の変形を習うと, はじきの図を覚える必要がなくなるはずだ。 中学校で理科で電圧と抵抗と電流の関係 \( V = RI \) を習うのと同じ時期に, 数学でも速度の式を復習したらどうだろう。


はじき 速度×時間=距離
はじきの図は不要   式で覚えるほうがよい

ところで, 小学校で速さの換算をしつこく教えると, 単位の換算が嫌いな人が増えるのではないかと心配になる。 むしろ 時速○km や 秒速○m をやめて, 単位の表記を km/h や m/s (読みは キロメートル毎時, メートル毎秒) に改め, 早いうちから本来の単位表記に慣れるほうがよいのではないか。 小学校で m2 という指数を含む単位を習うのに, km/h という除算を含む単位を使っていけない理由が見当たらない。 中学校になってから表記を km/h に変えるよりも, はじめから km/h でよいのではないだろうか。 そもそも, 時速○km だと, 単位が数値をはさんで前と後ろに分かれてしまうのも問題だ。 km/h と書いて キロメートル毎時 と読むほうが合理的だろう。



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T. Fujiwara, updated 2024/10