PanSTARRS 彗星 C/2011 L4
2013年2月 藤原隆男
PanSTARRS 彗星
2011年6月に,ハワイの小天体探査望遠鏡 Pan-STARRS によって発見された彗星 (C/2011 L4)
が,2013年3月ごろ肉眼彗星になりそうです。
PanSTARRS 彗星は,南側から太陽に近づき,3月10日に近日点を通過します
(図1参照)。近日点の太陽からの距離は約 0.30
天文単位です。2月末現在,南半球で見えていて,徐々に太陽に近づきながら明るくなっており,短い尾も見えています。
3月中旬にもっとも明るくなり,北半球でも夕方の空に見えるようになります。
図 1. PanSTARRS 彗星の軌道。上が北側。
当初は,近日点通過前後の3月中旬に −1〜0
等の明るい彗星になると予想されていましたが,その後の明るさの経過を見ると2等ぐらいにしかならないようです。
図2は,北緯35°での日没から1時間たった頃の彗星の位置です。
3月10日ごろから見え始めます。予想される3月中旬の明るさは 2 等
(オリオン座の三つ星ぐらい) ですが,高度が低いため大気による減光もあって,あまり明るくは見えないでしょう。
双眼鏡を使うほうがいいかもしれません。とにかく高度が低く
(空が暗くなったころには高度はすでに10°以下),地平線ぎりぎりに見えるので,建物や山がないところで観測する必要があります。
3月13日には細い月の左下に見えるはずです。3月下旬には 3〜4 等と暗くなり,月明かりもあって見えにくくなります (満月は
3月26日)。4月上旬には月がなくなりますが,彗星の明るさは 5 等以下になり,肉眼では見えなくなるでしょう。
図2. 夕方の空に見える PanSTARRS 彗星
(注) 腕を伸ばして親指と人差し指を L 字型に広げたときの,指先の間隔が約 15°です (下図)。角度の目安にしてください。
双眼鏡や望遠鏡があって,彗星が暗くなっても追跡したい人のために,星図を載せておきます。4月4日ごろ,アンドロメダ銀河のそばを通過します。
図3. PanSTARRS 彗星の位置図。上が天の北極の方
向。
* このページの図の作成には AstroArts の「ステラナビゲータ」を使用しました。
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