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日時: 1996/03/26 02h40m JST
条件: 55mm F1.8, Fuji HG1600,固定撮影(40秒)
場所: 京都府亀岡市
撮影: 藤原隆男
鹿児島県隼人町の百武裕司さんが1月31日(日本時間)に発見した彗星が,大彗星になりそうです。 来年の春やってくる Hale-Bopp 彗星よりも明るい彗星になるかもしれません。 なお,百武さんは昨年12月にも新彗星を発見していますので,この彗星は2番目になります。
百武彗星は現在太陽に接近中で,太陽に最も近づくのは5月1日,近日点距離は0.23天文単位です。 その前の3月25日,地球からわずか0.1天文単位の距離(月までの距離の約40倍)を通過します。 地球から見ると,うしかい座から北斗七星の東を通ってペルセウス座へと向かうことになります (図参照)。 地球のそばを通るので見かけの速度は速く,このころは1日で天球上を十数度も移動します。 予想光度は0等で,肉眼ではっきりと見えるでしょう。 ただし,地球接近時の彗星の見かけの大きさは月よりも大きいので, 淡く広がった頭部全体を見るためには暗い空が必要です。 空が明るいところでは,彗星の中心部だけが,にじんだ星のように見えるでしょう。 北の空を通るので一晩中見え,月も夜中には沈む(3月25日の月齢は6)ので, 観測条件には恵まれています。観望には双眼鏡が最適です。 太陽に接近する前なのでダストの尾はまだ発達していないと思われますが, 淡いプラズマの尾が見えるかもしれません(尾は太陽と反対側に出ます)。
その後,彗星は地球から遠ざかり夕方の西の空へ移動します。 4月半ばからは,太陽に近づくので再び明るくなり,尾も発達してくるでしょう。 4月末には,太陽に近づきすぎて空が暗くなる前に沈んでしまうので見えなくなります。 彗星は近日点通過(太陽最接近)後がいちばん明るいのですが, 残念なことに南の空へ移動するため,北半球では近日点通過後も見えないままです。 南半球での観測に期待するしかありません。(2/29)
★ 予想をやや上回るペースで明るくなっています。
3月下旬の地球接近時には0等より明るくなるかもしれません。
近日点通過前後の明るさは,ふつうの予想で−1等,楽観的な予想で−4等,悲観的な予想で3等です。
うんと明るくなった場合,4月末から5月初めにかけて,夜明け直前の薄明の空に見える可能性があります。(3/17)
★ NASA の
Recent News and Observations
には世界各地からの最新の観測レポートが集められています。
また,NASA の
Light Curve of C/1996 B2 (Hyakutake)
には光度予想についての議論があります(3/17)。
★ 0等級になっています。尾も肉眼で見えます。空が暗いところでは40〜50°も見えるということです(3/24)。
★ その後,尾は太くなってきましたが,活動が鈍って暗くなっています。
楽観的予想のように明るくなる見込みはあまりないようです(4/14)。
3月中旬までの経路 (日本時間3時の彗星の位置を示した)
3月下旬(地球接近時)の経路 (日本時間21時の彗星の位置を示した)
3月末−4月の経路 (日本時間20時の彗星の位置を示した)
彗星出没図 (観測地: 135oE 35oN,GIF 24K)
図の作成には ASCII/AstroArts StellaNavigator を使用しました。
図は自由に配布してかまいません。
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Last update: 1996/7/30
京都市立芸術大学 藤原隆男